Antigravity CLIは、GoogleのAIコーディング環境をターミナルから利用するためのCLIです。リポジトリの調査、ファイル編集、コマンド実行、モデル選択、非対話実行などを行えます。
2026年に個人・無料ユーザー向けのGemini CLIとGemini Code Assist IDE拡張からAntigravity CLIへの移行が案内されたため、古いGemini CLIの記事やコマンドだけを参考にすると、現在の導入手順と合わない場合があります。
この記事では、macOS・Linux・Windowsへのインストール、初回認証、ワークスペースの信頼、モデル選択、対話・非対話実行、Webアプリの調査・テストへの使い方、危険な権限設定を避ける方法を解説します。
情報確認日:2026年7月11日(日本時間)
結論:まず対話モード+確認ありで使い、非対話実行は読み取り処理から始める
この記事の結論
- CLIコマンドは
agy - 初回はGoogleアカウントまたはGoogle Cloudプロジェクトで認証する
agy modelsで利用可能なモデルを確認する- 未知のリポジトリではワークスペースを信頼せず、読み取り中心で確認する
--dangerously-skip-permissionsを通常の開発PCで使わない
Antigravity CLIとは?
Antigravity CLIは、GoogleのAntigravity環境をターミナルから利用するためのコーディングエージェントです。自然言語で依頼し、プロジェクト内のファイルを調査したり、変更を作成したり、テストやビルドを実行したりできます。
主な利用方法です。
- 対話セッションでコードについて相談する
- リポジトリの構造やデータフローを調査する
- バグ修正やテスト追加を依頼する
- 利用モデルを切り替える
- プロンプトを1回だけ実行する
- スクリプトやCIから非対話で実行する
- Skillsを使って繰り返し作業を定義する
Gemini CLIから何が変わった?
Googleは2026年5月20日、個人・無料ユーザー向けのGemini CLIとGemini Code Assist IDE拡張をAntigravity CLIへ移行する方針を案内しました。該当するリクエスト提供は2026年6月18日に終了すると発表されています。
Google Standard、Enterprise、APIキーを使う構成などは契約や提供条件が異なる場合があります。現在のアカウントで利用できる製品、モデル、上限は、公式の移行案内と管理画面で確認してください。
旧Gemini CLIの記事を削除する必要はありません。過去の利用者向けに移行情報を追加し、新しい導入・設定・コマンドはAntigravity CLIの記事へ集約すると、情報を探しやすくなります。
macOS・Linuxへインストールする
公式インストールスクリプトを実行します。
curl -fsSL https://antigravity.google/cli/install.sh | bash
新しいシェルを開き、バージョンを確認します。
agy --version
agy --help
コマンドが見つからない場合は、インストーラーが追加したPATHと、利用中のシェル設定を確認します。公式インストーラーの内容を確認してから実行したい場合は、URLをブラウザやcurlで表示し、保存後に実行してください。
Windowsへインストールする
PowerShell
irm https://antigravity.google/cli/install.ps1 | iex
コマンドプロンプト
curl -fsSL https://antigravity.google/cli/install.cmd -o install.cmd && install.cmd && del install.cmd
組織管理のPCでは、外部スクリプト実行が禁止されている場合があります。管理者ポリシーを回避せず、許可されたインストール方法を確認してください。
初回起動と認証
作業したいGitリポジトリへ移動し、起動します。
cd /path/to/your-project
agy
初回起動では、主に次を設定します。
- GoogleアカウントまたはGoogle Cloudプロジェクトで認証
- 利用条件の確認
- 表示テーマの選択
- 現在のワークスペースを信頼するか選択
- 利用するモデルや初期設定の確認
ワークスペースの信頼とは?
リポジトリには、AIへの指示ファイル、スクリプト、依存パッケージ、タスク設定が含まれます。未知のリポジトリを信頼すると、意図しないコマンドや外部通信が提案・実行される可能性があります。
自分が管理していないプロジェクトでは、最初にファイルを読み取り専用で確認し、install script、Git hooks、設定、シンボリックリンク、秘密ファイルを調べてください。
よく使うスラッシュコマンド
| コマンド | 用途 |
|---|---|
/help |
利用できるコマンドとヘルプを表示 |
/config |
現在の設定を確認・変更 |
/settings |
ユーザー設定を確認 |
/model |
セッションで使うモデルを選択 |
/quit |
セッションを終了 |
! |
シェルモードへ切り替える |
利用できるコマンドはバージョンで変わる可能性があります。/helpを基準に確認してください。
利用できるモデルを確認する
agy models
表示されるモデルは、アカウント、プラン、リージョン、Google Cloudプロジェクトによって異なる場合があります。記事やサンプルに書かれたモデル名をそのまま使わず、自分の一覧から選びます。
起動時にモデルを指定する例です。
agy --model "MODEL_NAME_FROM_AGY_MODELS"
対話セッション内では/modelから切り替えます。高速モデルは探索や単純修正、高性能モデルは複雑な設計や長い検証というように使い分けます。
最初に試す読み取り専用の依頼
いきなり「全部直して」ではなく、変更なしの調査から始めます。
このリポジトリをまだ変更せず、次を調べてください。
- アプリの起動点
- フロントエンドとAPIのディレクトリ
- 認証の実装場所
- テストコマンド
- ビルドコマンド
- 環境変数の名前だけ(値は表示しない)
- 変更してはいけない生成ファイル
確認したファイルと未確認事項を分けて報告してください。
結果が正しいか自分で確認し、プロジェクトのルールやテストコマンドを指示ファイルへ整理します。
Webアプリのバグ修正を依頼する
再現、原因調査、テスト、最小修正という順序を指定します。
検索画面で空の検索語を送信するとローディングが終了しない問題を修正してください。
手順:
1. 関連コードと既存テストを調査
2. 問題を再現するテストを追加
3. 原因を説明
4. 最小の修正を実装
5. 関連テスト、typecheck、lintを実行
制約:
- 依存追加なし
- API仕様変更なし
- 検索機能以外のリファクタリングなし
- push、deployなし
最後に変更ファイル、テスト結果、残る制約を報告してください。
エージェントが提案したコマンドと差分を確認してから許可します。特にパッケージ追加、削除、外部ネットワーク、Gitの履歴変更は慎重に確認してください。
シェルモードを使う
!でシェルモードへ切り替えられる場合があります。通常のターミナルコマンドを実行するため、現在のディレクトリと副作用を確認します。
git status --short
git diff --check
npm run typecheck
npm run test -- --runInBand
AIの指示どおりに未知のコマンドをコピー実行しないでください。curl | sh、削除、force push、権限変更、秘密情報の表示、外部アップロードは内容と送信先を確認します。
非対話モードで1回だけ実行する
-pを使うと、プロンプトを渡して1回の処理として実行できます。
agy -p "このリポジトリのテストコマンドと主要ディレクトリを調べ、ファイルは変更せずMarkdownで要約してください。"
非対話モードはスクリプトやCIへ組み込みやすい一方、承認をどう扱うかが重要です。最初は読み取り専用のレポート生成から使います。
終了コードと出力をスクリプトで扱う
レポートをファイルへ保存する例です。
#!/usr/bin/env bash
set -euo pipefail
mkdir -p reports
if agy -p \
"現在の差分を読み取り専用でレビューし、重大な不具合、不足テスト、未確認事項をMarkdownで返してください。" \
> reports/antigravity-review.md; then
echo "review completed"
else
echo "review failed" >&2
exit 1
fi
CLIが進行ログと最終出力をstdout・stderrへどう分けるかはバージョンで確認します。機械処理する場合は、構造化出力オプションが提供されているかagy --helpを確認してください。
CIで使う場合の安全な構成
Pull Request
▼
一時CIランナー
├─ 対象コミットをcheckout
├─ 読み取り専用または限定書き込み
├─ 本番秘密なし
├─ ネットワーク許可先を限定
├─ agy -p でレビュー
├─ レポートを成果物へ保存
└─ 自動merge・deployは行わない
次の制限を入れます。
- Fork由来のPull Requestへ秘密を渡さない
- 短期トークンと最小権限を使う
- 実行時間と利用量に上限を設ける
- 外部コマンドとネットワークを制限する
- 生成したコメントや差分を人間が確認する
- CIランナーをジョブ終了後に破棄する
権限確認を省略しない
Antigravity CLIには、権限確認を省略する危険なオプションが用意されています。--dangerously-skip-permissionsは、通常の開発PC、ホームディレクトリ、本番資格情報を持つサーバーで使わないでください。
自動化で承認を出せない場合は、次を先に行います。
- 読み取り専用タスクへ限定する
- 使い捨てコンテナまたはVMへ隔離する
- 必要なファイルだけをマウントする
- ネットワークを無効または許可先限定にする
- 秘密情報を渡さない
- 通常のスクリプトでできる処理はAIに任せない
設定ファイルの場所
Antigravity CLIのユーザー設定は、公式Codelabでは次の場所が案内されています。
~/.gemini/antigravity-cli/settings.json
移行期には旧Gemini関連のディレクトリ名が残る場合があります。手動編集前にバックアップし、/settingsや/configで変更できる項目を優先します。
秘密情報を設定ファイルへ直接書かないでください。
Skillsで繰り返し作業を定義する
Antigravity Skillsを使うと、特定のレビュー、ドキュメント生成、デプロイ前確認などの手順を再利用できます。Skillへ含める内容の例です。
- いつ使うSkillか
- 必要な入力
- 参照するファイル
- 実行してよいコマンド
- 禁止操作
- 出力形式と完了条件
外部から取得したSkillはコードと同じようにレビューします。シェルスクリプト、外部URL、秘密ファイルの参照、公開・削除操作がないか確認してください。
Webサイト保守での活用例
リンク切れ候補を調査する
リポジトリ内のMarkdownやHTMLから外部リンク一覧を作り、確認対象だけをレポートさせます。ネットワーク確認は許可先と件数を制限します。
依存更新の影響を読む
lockfile変更、破壊的変更、非推奨API、必要テストを調べます。自動アップデートとmergeは別の承認ステップにします。
アクセシビリティのコードレビュー
フォームラベル、キーボード操作、フォーカス、ダイアログ、画像代替テキストの不足候補を確認します。実際のブラウザと支援技術による確認は人間またはE2Eテストで補います。
リリースノートを作る
Git差分やPull Requestのタイトルから下書きを作り、公開前に担当者が内容と機密情報を確認します。
モデルを使い分ける
- 高速モデル:ファイル探索、一覧化、短い要約
- 標準モデル:通常のバグ修正、テスト追加、リファクタリング
- 高性能モデル:複雑な設計、複数サービスの障害調査、重要レビュー
利用可能モデルはagy modelsを正とし、記事公開時に特定モデルを固定で推奨しすぎない方が、変更へ対応しやすくなります。
よくあるトラブル
agyコマンドが見つからない
ターミナルを開き直し、PATHとシェル設定を確認します。インストール先は公式インストーラーの出力を確認してください。
認証画面が開かない
ヘッドレス環境、プロキシ、ブラウザ設定、組織アカウントの制限を確認します。Google Cloudプロジェクトを使う認証方法も公式手順で確認します。
モデルが選べない
agy modelsで現在のアカウントに提供されるモデルを確認します。契約、リージョン、上限によって表示が異なる場合があります。
ファイル変更の確認が多い
いきなり確認を省略せず、タスク範囲を小さくし、信頼できるワークスペースか、設定と権限を確認します。
旧Gemini CLIの設定が反映されない
Antigravity CLIの設定場所と移行ガイドを確認し、旧コマンドや拡張機能を混在させないようにします。
あわせて読みたい記事
よくある質問
Gemini CLIは完全に使えなくなったのですか?
個人・無料ユーザー向け移行の案内と期限が発表されていますが、Google Standard、Enterprise、APIキー利用などは条件が異なる場合があります。自分の契約と公式移行案内を確認してください。
Antigravity CLIは無料で使えますか?
利用可能なプラン、モデル、上限はアカウントによって異なります。初回認証後の表示と公式料金・提供条件を確認してください。
VS Codeでも使えますか?
CLIはVS Codeの統合ターミナルから起動できます。IDE側のAntigravity機能や拡張との役割は、現在の公式案内を確認してください。
CIで自動修正させてもよいですか?
最初は読み取りレビューやレポート生成に限定してください。自動修正を行う場合も一時ブランチへ差分を作り、人間のレビューとテストを経てから統合します。
権限確認を毎回省略できますか?
危険な省略オプションはありますが、通常環境では使わないでください。タスクを小さくし、隔離環境と最小権限を用意する方が安全です。
まとめ
Antigravity CLIは、agyコマンドからGoogleのコーディングエージェントを利用するCLIです。インストール後は、初回認証、ワークスペースの信頼、agy modelsによるモデル確認を行い、まず読み取り専用のコード調査から試してください。
非対話実行やCIは便利ですが、承認省略を先に選ばず、一時環境、最小権限、ネットワーク制限、秘密情報の除外、タイムアウト、人間の差分確認を用意します。旧Gemini CLIの手順と混在させず、2026年の公式移行情報を基準に更新してください。