Comfy Cloud MCPは、MCPクライアントからhttps://cloud.comfy.org/mcpに接続し、Comfy CloudのGPUでworkflowを実行する方式です。ローカル版のcomfy-mcpと違い、手元にGPUもComfyUIも要りませんが、認証・課金・生成物の置き場所がすべてCloud側になります。
情報確認日:2026年8月22日(日本時間)
結論:GPUがないならCloud、機密性とコストを見るならLocal
責任範囲
- Cloud MCPとLocal MCPの違い(実行場所・認証・課金・保存場所・ネットワーク依存)
- 接続前に公式で確認する項目と、料金を転載しない理由
- MCPクライアントへの登録と、APIキーを設定ファイルに直書きしない方法
- 最小jobでend-to-endを確認する手順
- 環境変数・Secret manager・ログのマスキング
- 機密性・コスト・GPUの有無で決める使い分け
Comfy MCPの概要、ローカルのcomfy-mcpのインストール、Claude Code・Codexへの登録手順、固定workflowをToolとして実行させる設計はComfy MCPをローカルで使う方法で扱っています。この記事はCloud版に固有の部分と、両者の使い分けに絞ります。ComfyUI自体を自分で公開する場合の認証設計は外部公開時の認証設計を参照してください。
Cloud MCPとLocal MCPの違い
公式ドキュメント(docs.comfy.org/agent-tools/mcp、2026年8月時点)では、Comfy MCPにホスト型のCloudサービスと、オープンソースのローカルサーバーの2つの提供形態があると説明されています。MCPクライアントから見ると、どちらも「Toolを呼ぶ」点は同じですが、裏側は別物です。
| 観点 | Cloud MCP | Local MCP(comfy-mcp) |
|---|---|---|
| 実行場所 | Comfy CloudのGPU | 自分のマシン(または自分で用意したComfyUIサーバー) |
| 接続方式 | リモートHTTP。クライアントにURL https://cloud.comfy.org/mcp を登録 |
stdio。クライアントがcomfy-mcpコマンドをサブプロセスとして起動 |
| 認証 | OAuth(推奨)またはAPIキー(X-API-Keyヘッダ、キーはcomfyui-で始まる) |
基本は不要。Partner Node(有料の外部API連携ノード)を使うときだけCOMFY_API_KEY |
| 課金 | サブスクリプション前提(新規ユーザー向けの無料実行枠の記載あり)。Partner Nodeはクレジット消費 | 電気代とGPU以外は無料。Partner Nodeを使えばクレジット消費 |
| モデル・ノード | Cloud側のカタログにあるもの | 自分で入れたcustom node・モデル・LoRAがそのまま使える |
| 生成物の置き場所 | Cloud側。署名付きURLで受け取り、手元に保存するにはダウンロードの一手間 | ComfyUIのoutputフォルダに直接 |
| ネットワーク依存 | 常時必要。回線断=実行不可 | Partner Node以外は不要 |
| workflowメタデータ | submit_workflowで生成したアセットにはworkflowが埋め込まれない場合があると公式に記載 |
ComfyUIの既定どおり埋め込まれる |
最も大きな違いは「promptとworkflowと生成物がどこにあるか」です。Cloudでは、それらがComfy Cloudのアカウントに紐づいて保存・処理されます。社内資料や未公開デザインを含む依頼をAgentに出すなら、この点を先に判断してください。
接続前に確認すること
料金・無料枠・同時実行数・保存期間は変わる項目です。この記事では数値を転載せず、確認先だけを示します。接続前に次を自分で開いて確認してください。
- Comfy Cloudのプラン・料金:
comfy.org/cloud/pricing(公式の料金ページ) - Partner Nodeのクレジットと消費の仕組み:docs.comfy.org の Credits ページ。実際の消費は画像サイズや枚数で変わる、クレジットはユーザー間で共有できない、未使用分の返金はない、といった記載がある
- APIキーの発行場所:
platform.comfy.org/profile/api-keys - MCP利用がpublic betaであること:Tool名や引数が変わる可能性を前提に、確認日を記録する
- 自分の依頼に含まれるデータを、外部のクラウドに送ってよいか(社内規程・契約)
公式ドキュメントの読み方として、「新規ユーザーに無料実行枠がある」という記述は、いつ変わっても不思議ではない種類の情報です。本文に数字を書き写すのではなく、使う日に公式ページを見る運用にしてください。
MCPクライアントに設定する
Cloud版はリモートHTTPサーバーなので、クライアントにはurlを登録します。認証はOAuthが推奨で、対応クライアントではブラウザが開いてログインする流れになります。公式ページによれば、CursorはOAuthに対応していないためAPIキーを使います。
// Claude Desktop など(OAuthが使えるクライアント)。公式ページの例
{
"mcpServers": {
"comfy-cloud": {
"url": "https://cloud.comfy.org/mcp"
}
}
}
ヘッドレス環境や、OAuthが使えないクライアントでは、APIキーをヘッダで渡します。このとき、キーの値そのものを設定ファイルに書かないでください。公式ページの例は環境変数参照になっています。
// APIキー方式。値は環境変数から参照し、ファイルには書かない
{
"mcpServers": {
"comfy-cloud": {
"url": "https://cloud.comfy.org/mcp",
"headers": { "X-API-Key": "${env:COMFY_API_KEY}" }
}
}
}
設定ファイルは共有・同期されやすい:MCPの設定はdotfilesとして同期したり、プロジェクトに同梱してGitに入れたりしがちです。キーを直書きしたファイルを1度でもcommitすると、履歴から消すのは困難です。${env:...}形式が使えないクライアントでは、設定ファイル自体を.gitignoreに入れ、ファイルの権限を自分だけに絞ってください。
Claude Code・Codex・Cursorそれぞれの登録コマンドと設定ファイルの場所は、ローカル版の記事と同じです。違いは「commandの代わりにurlを書く」ことだけです。環境変数の展開記法(${env:NAME})に対応しているかはクライアントの版で異なるため、公式ドキュメントで確認してください。
最小jobでworkflowを実行する
登録できたら、最初は最小のテンプレートを1回だけ実行して、接続・認証・課金・出力取得の4つが一周することを確かめます。公式ページに載っているTool名では、テンプレート検索がsearch_templates、テンプレート実行がrun_template、状態確認がget_job_status / wait_for_job、出力取得がget_outputです。
- 1
サーバー情報と請求状態を見る
get_server_infoとget_billing_statusで、接続先がCloudであること、残枠やプランの状態を確認する - 2
テンプレートを1つ選ぶ
search_templatesでtxt2imgの基本テンプレートを探す。Partner Nodeを含まないものを選ぶ - 3
実行して待つ
run_templateでpromptだけ指定し、wait_for_jobで完了を待つ。job IDを控える - 4
出力を手元に保存する
get_outputで署名付きURLを受け取り、ダウンロードして保存する。URLには期限があるものとして扱う
Agentへの依頼文の例です。Tool名を明示し、有料ノードを使わないことを先に言います。
comfy-cloud の search_templates で、Partner Node を含まない最も基本的な
text-to-image テンプレートを1つ選び、run_template で
prompt="a small lighthouse on a cliff, morning fog, watercolor" を1枚だけ生成してください。
partner_generate と confirm_spend が必要な操作は使わないでください。
完了したら get_output で画像URLを取得し、./outputs/cloud-test-01.png に保存してください。
成功の判定は「手元に画像ファイルがあり、get_billing_statusの値が実行前後で変化している(または無料枠が減っている)」ことです。画像が保存されていなければ、出力取得の段階で止まっています。
Secretを管理する
Cloud MCPで増える秘密情報は、APIキー(comfyui-…)とOAuthのトークンです。扱いは次の3段階で考えます。
| 段階 | やること | 避けること |
|---|---|---|
| 環境変数 | シェルの起動ファイルか、direnvのようなディレクトリ単位の仕組みでCOMFY_API_KEYを設定。設定ファイルは${env:COMFY_API_KEY}で参照 |
JSON・TOML・.envをGitに入れる。スクリーンショットに設定画面を写す |
| Secret manager | チームやCIでは、OSのキーチェーン、1Password CLI、クラウドのSecret managerから実行時に注入する | チャットやWikiでキーを共有する。1つのキーを複数人で使い回す |
| ログのマスキング | MCPクライアントやAgentのログにX-API-Keyの値が出ていないか確認し、出るならcomfyui-で始まる文字列を伏せるフィルタを入れる。Agentの会話ログも同様 |
デバッグのためにヘッダ全体をログに出したまま本番運用する |
キーは「漏れたら作り直す」前提で、発行日を記録し、定期的に入れ替えます。platform.comfy.org側で失効できるので、疑わしい利用が請求履歴に出たら、まず失効してから調べます。Agentに渡す権限の範囲(有料Toolを使わせない、任意パスに書かせない)はローカル版と同じ考え方です。
CloudとLocalを使い分ける
判断軸は3つです。順番に当てはめれば、ほとんどの場面でどちらかに決まります。
Cloud MCPを選ぶ
GPUがない・環境構築に時間を使いたくない
- 手元にGPUがない、またはVRAMが足りないworkflowを動かしたい
- 依頼に含まれるprompt・画像が外部に出ても問題ない
- カタログにあるモデル・ノードで足りる
- 利用量に応じた費用を許容できる
Local MCPを選ぶ
機密性・自前のcustom node・固定費で済ませたい
- 未公開の素材や個人情報を含む依頼がある
- 自分で入れたcustom node・LoRA・モデルが必要
- 大量生成で従量課金が読めない
- オフラインでも動かしたい
両方を登録しておき、依頼ごとに使い分けることもできます。その場合、Agentがどちらのサーバーを使ったかを出力ログに残す設計にしてください。「気づかないうちにCloudで実行され、機密データが送られた」という事故を防ぐためです。
再現してほしい比較:同じpromptをLocalとCloudで実行して記録する
数値は環境とプランで変わるため、この記事では示しません。同じpromptで両方を1回ずつ実行し、次の項目を自分の環境で埋めてください。
| 記録項目 | Local MCP | Cloud MCP | 何を見て判断するか |
|---|---|---|---|
| 準備に要した手順数 | インストール・登録・認証までのステップ数 | ||
| 依頼から画像保存までの時間 | Agentの会話ログの時刻差。Queue待ちとダウンロード時間を含む | ||
| 使ったTool名の列 | Cloudではget_output+ダウンロードが追加される |
||
| 費用・クレジット変化 | get_billing_statusの前後差、または請求履歴 |
||
| 生成物の保存場所 | パスまたはURL。URLの有効期限 | ||
| workflowメタデータの有無 | PNGのメタデータにworkflowが入っているか | ||
| 送信したデータの範囲 | prompt・参照画像・workflowのうち外部に出たもの |
この表の最後の行が、使い分けの決め手になることが多いです。速さや手順数より先に、「何が外に出たか」を自分の目で確認してください。
よくある質問
Cloud MCPで自分のLoRAやcustom nodeは使えますか?
公式ドキュメントでは、Cloudはカタログのモデル、Localは自分で入れたcustom nodeが使える、と対比されています。自前のモデル持ち込みの可否や手順は変わる可能性があるため、docs.comfy.org のCloud関連ページで現行の案内を確認してください。
OAuthとAPIキーはどちらを使うべきですか?
対応クライアントならOAuthが推奨です。キーをファイルや環境変数に置かずに済み、失効も基盤側でできます。APIキーは、OAuthが使えないクライアントやヘッドレス実行に限って使い、環境変数経由で渡します。
Cloudで実行した画像のworkflowを後から復元できますか?
公式ページに、submit_workflowで生成したアセットにはworkflowメタデータが埋め込まれない場合があると記載されています。再現が必要なら、実行時に使ったworkflow JSONとpromptを自分で保存してください。
まとめ
Comfy Cloud MCPは、https://cloud.comfy.org/mcpにリモートHTTPで接続し、Comfy CloudのGPUで実行する方式です。ローカル版との違いは、実行場所・認証・課金・生成物の置き場所・ネットワーク依存にあり、特に「promptとworkflowと生成物が外部に置かれる」点が判断の中心になります。
接続はOAuthを優先し、APIキーを使うなら環境変数参照にして設定ファイルに書きません。最小テンプレートで一周させ、LocalとCloudを同じpromptで比較した記録を残してから、依頼ごとにどちらを使うかを決めてください。料金や無料枠は転載せず、使う日に公式ページで確認する運用にします。